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■「夕凪の街 桜の国」   ★イチオシシネマ

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製作年度/国

2007年/日本
上映時間

1時間58分
日本公開

2007年7月28日
配給会社

アートポート
ジャンル

ドラマ、戦争
カラーorモノクロ

カラー

主な受賞歴 ・報知映画賞 主演女優賞(麻生久美子) (2007年)
・ブルーリボン賞 主演女優賞(麻生久美子) (2007年)

監督

佐々部清(「半落ち」「出口のない海」)
原作

こうの史代『夕凪の街 桜の国』(双葉社刊)
脚本

国井桂
佐々部清(「半落ち」「出口のない海」)

キャスト 石川七波 田中麗奈
平野皆実 麻生久美子
打越豊(青年時代) 吉沢悠
利根東子 中越典子
石川旭(青年時代) 伊崎充則
石川凪生 金井勇太
打越豊 田山涼成
太田京花 粟田麗
平野フジミ 藤村志保
石川旭 堺正章

公式HP

http://www.yunagi-sakura.jp/(日本)
ストーリー 原爆が落とされてから13年経った昭和33年。広島は悲しみから立ち上がり、まさに復興のさなかにあった。しかし、体に受けたケロイドと同様、心の傷も拭い去れないでいる者たちもいた。父と幼い妹を亡くしていた皆実は、自分が生き残っていることへの罪悪感から、同僚の打越の愛を素直に受け入れられない。そんな皆実に、今度は原爆症の症状が現れるようになり…。
時は流れて50年後。定年退職した父・旭が最近挙動不審なのを気にしていた七波は、こっそりと父の後をつける。辿り着いた広島で、様々な場所に立ち寄り、数人の人に会っては涙を流す旭。やがて七波は、父の辿ったその道がある思い出へと続いていることを知るのだった…。

K’s Point “昔のこと”“生まれてないから知らない”では済まされない負の遺産
1945年8月6日、8月9日、8月15日――この3日に何が起こったのかを答えられる日本人が減り続けているという。単に戦争を知らない世代が増えたからだと言い切れるような問題ではない。このことを考える度に、教えるべきことをちゃんと教えられていない学校教育、異世代間の繋がりの希薄さ、人の痛みを分かろうとする心の欠如…それらを強く感じて、途方もなく悲しくなってしまう。そして、辛さを乗り越えた先人たちが一生懸命復興させてくれた私たちの国の行く末を案じずにはいられない。だからこそ、私たちには知る機会や考える切っ掛けが必要なのだ。主演の田中麗奈は、1年前にこの作品に出会って以来、広島に対するイメージが広がり、作品がテーマにしていることが心のどこかに棲み続けるようになったそうだ。彼女のような若い世代に影響力のある俳優が真摯な気持ちで撮影に臨んで出来上がった本作は、多くの“知らない世代”を覚醒させる力強さに満ちている。

K’s Point 妥協知らずのステキな頑固者
監督にとって作品は我が子も同然。その可愛い我が子のため、佐々部監督は闘った。決して譲れなかったもの――それは、最近流行りの“取って付けたような主題歌”。全然作風にそぐわない曲を、最後の最後に(ムリヤリ)聴かされ、盛り下がった気分で劇場を後にする…そんな裏切りに遭うことはない。監督は他にも拘った。俳優の起用だ。この作品に限らず、映画を中心に活動している人を使うようにしているとか。舞台挨拶でも、田中麗奈起用の理由を訊かれ、開口一番「映画女優だから」と言い切った。また、原爆をテーマにしていながら、残酷で生々しい戦場の描写は敢えて入れない潔さ。頑固一徹な拘りがそこここに詰まった、優しい作品だ。

K’s Point 言えない苦しみ、聞きたかった言葉  ※多少ネタバレにつきご注意ください
本当に辛いことは、誰にも打ち明けられなかったりする(話すことすら辛い)。皆実もそうだ。会社帰りに人目を忍ぶように、静かに亡き人々に手を合わせる。“誰かに死ねば良いと思われた”自分が、父と妹だけを引き渡して生き長らえている、その罪の呵責も胸に仕舞い込んで生きてきた。愛する人が掛けてくれた「生きとってくれて、ありがとうな」という言葉は、どれだけ彼女の魂を救ってくれたことだろうか。娘や息子に戦争のことを語らなかった旭もそうだ。蓋をしていた過去を自分から語る時、彼の50年の想いは解放されていく。



    
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